トレーニング室

怪我のリスク

スポーツには、必ず怪我のリスクが伴います。従って、怪我を避ける為の一番確実な方法は「スポーツに参加しないこと」になります。しかし、部活に励む学生の皆さんにとっては、その選択肢はあり得ないでしょう。「怪我をしたくないから部活をやめよう」という発想はまず出てこないはずです。では、「スポーツに参加し、かつ怪我のリスクをできる限り低く抑える」為に、どのような対策ができるのでしょうか。

Lauersenらの、25の研究(計26,610の対象者)をまとめたものによると、怪我のリスクを下げる為に最も効果的な活動は「筋力トレーニング」であるそうです。
適切なトレーニングを行えば、急性の怪我は1/3以下に、慢性的な怪我(オーバーユース症状)は1/2程度にまで抑えることができると報告されています。かと言って、絶対に怪我をしないというわけでは当然ありませんが、怪我をしてしまった場合でも、トレーニングを行っていない人と比較すると、その程度は低く抑えられると考えられます。

対象者、競技レベル、期間、怪我の種類など、様々なバイアスはあるものの、怪我のリスクを下げる為には、筋力トレーニングは「必要不可欠である」と結論付けられています。

第8トレーニング室 馬目

 

Lauersen et al., The effectiveness of exercise interventions to prevent sports injuries: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. British Journal of Sports Medicine. October, 2013

エクササイズテクニックの重要性

瀬田トレーニング室S&Cの菊地です。

新年度に入り2ヶ月が経過しました。トレーニング室では新入生の部員たちがウエイトトレーニングを開始し始めています。

また、トレーニング室の利用者講習会も現在まで満員の状態が続いており、それに伴い部に所属していない学生のトレーニング室の利用も多くなってきているようです。健康の保持増進の観点からも、トレーニング室はどんどん活用していただきたいところです。ウエイトトレーニングへの関心の高さも伺えますので、今回はウエイトトレーニングを開始する際、適切なエクササイズテクニックを習得する重要性を述べたいと思います。

 

効果的にウエイトトレーニングを行うには、それぞれのエクササイズを適切なエクササイズテクニックで行えるようにしなければなりません。適切なテクニックが身についていない状態でトレーニングの負荷を上げていくことは、期待する効果が得られないばかりか、腰や膝などを痛めてしまう原因となり得ます。しかし、ウエイトトレーニングの動作は単純に見えるのか、それほど学習する必要がなく重要性は低いと考えられているのではないかと感じられる時があります。

確かに動作だけを見ると、普段行っている立ち上がったり何か物を持ったりする動作と同じように映るかも知れません。しかし日常生活でも肩や腰、膝の障害を引き起こすことがあるように、これまでの生活で自然に身につけてきた日常の動作が適切なものであるとは限りません。また日常生活においては、ウエイトトレーニングで用いるような重量を扱う機会は非常に少なく、さらにそれを何度も反復して持ち上げるということは、ほとんどないと思われます。日常にはない負荷がかかっていることで、ウエイトトレーニングのエクササイズテクニックは日常の動きと見た目は類似していたとしても大きく異なるものなのです。

そのためウエイトトレーニングのエクササイズテクニックは他のスポーツにおける技術と同様、始めに学習する必要があるものであり、常にチェックし自身にとってより良い動作へと発展させていくべきです。

初めてウエイトトレーニングを行う際には、トレーニングの専門職に各エクササイズの適切なテクニックを教わりましょう。また、ウエイトトレーニングの経験はあるが長い間行っておらず久しぶりに実施する場合も、自身のテクニックを再チェックし、以前の方法に修正点はないかどうかを確認するために、トレーニングの専門職の指導を受けることが望ましいといえます。

ウエイトトレーニングを安全に、そして適切なテクニックで実施していくために、特に初心者の方は以下の点に注意しましょう。

○適切なシューズを用いましょう。シューズは足を保護し、ウエイトを扱っている時に足部を安定させ、滑ったりバランスを崩すことで起こりうるケガを予防する役割があります。そのため、自分の足にフィットし、適度なクッション性と安定性のあるシューズを選択するようにします。トレーニング用のシューズを使用することが望ましいでしょう。

○十分なウォームアップを行いましょう。十分に筋の温度が上昇していないと、高いレベルでの力を発揮できないだけでなくケガの可能性も高まります。ウエイトトレーニングの前には5分から10分程度、固定式自転車やジョギングなどの軽度の有酸素運動を行ったり、動的なストレッチを行うことが勧められます。

○ウエイトトレーニングを行う最初の段階では、トレーニングの専門職またはパートナーと共にトレーニングしましょう。

○安全に行える重量を選択しましょう。初めてのウエイトトレーニング種目の場合は、まずは楽に15回程度は反復できる重さを選択し、余裕を残した反復回数で実施しましょう。種目の動作に十分に慣れるまでは、適切なフォームを維持できない重さを用いたり、反復を行わないようにしましょう。

○常に適切なフォームを意識しましょう。ウエイトを床またはラックから持ち上げてから戻すまでの間「常に」適切なフォームを意識してください。ウエイトトレーニングの各種目は、傷害などの制限や特別な目的がない場合は関節の全可動域で動作させることが基本です(それが可能な重量を選択すること)。また安全かつ安定したフォームを維持するためにも、降ろす部分(エクセントリック局面)は特に丁寧に行うようにしましょう。フォームを維持できない場合は使用重量を落とすか反復回数を減らして行うようにします。

○動作はゆっくり行いましょう。早い動作では、適切な動作を意識しながら行うことが難しくなります。

○呼吸も意識しましょう。力を入れる時には呼吸を止めたくなりますが、ウエイトトレーニングの最初の段階では動作中に呼吸を止めないようにしましょう。ウエイトを挙上する時に息を吐き、下降させるときに息を吸うことが基本になります。但し、上肢の引く種目で、ウエイトの挙上時に胸郭を広げていく動作が含まれる場合は、挙上時に息を吸い、下降時に息を吐く方が動作に対して自然な呼吸になります。

○エクササイズ中に筋の疲労以外の痛みや違和感を感じた場合は、直ちにエクササイズを中止し、トレーニング室のスタッフに相談してください。

図1

選手の動きを観察する

みなさんこんにちは。S&Cコーチの池田です。

新年度が始まり生活リズムにも慣れてきた頃でしょうか。
龍谷スポーツの春の試合シーズンも始まっています。

この時期は私も担当しているクラブの試合はできるだけ観に行くようにしています。
その主な目的は、実際にプレーをしているところを観察して日頃のトレーニングの成果や今後の課題を確認することです。もちろん応援もしています(笑)

普段はトレーニング中に記録している体重や体脂肪率、筋力や瞬発力の数値など各種の客観的なデータを基にトレーニング成果や課題の確認をしていますが、実際のプレーを観察するときにはそれとは逆に主観的な評価をすることが多いです。

「スマッシュやスパイクの球が速くなってるな」とか「前に走るスピードは速くなってるけど、左右の切り返しの速さはそんなに変わってないな」「最後までバテずによく足が動くようになってるな」という具合に、あくまでも直感的に選手のパフォーマンスの変化を感じ取るようにしています。なので試合中は球の動きとか点数といった試合展開は実はあまり見ていなくて、1プレー毎に一人の選手の動きだけを追っかけて見たりしています。さらに見ている動きも、「肩の動き」や「膝の角度」や「重心の位置」あるいは「足と地面の接地時間」と、かなりピンポイントだったりします。

このように実際に目で見ることで得られる主観的な情報と、トレーニングや測定で得られる客観的な情報を擦り合わせて今後のトレーニング課題を決定し、その課題を達成するために必要な科学的根拠に基づく効果的なトレーニング指導を行うよう日々努力しています!

女バレ試合前 バド試合

応急処置(RICE処置)とは?

2016年の新年度が始まり多くのサークルでは既に新メンバーが加わり活動していると思います。そのサークルの活動をサポートする為に龍谷大学では深草体育館の第9トレーニング室に3名、瀬田体育館のトレーニング室に1名のアスレティックトレーナーが常勤しています。サークルに入っていなくても前回のブログで紹介したトレーニング室の利用者講習会を受講し、その利用者証を持っている学生、教職員の方はスポーツによる怪我のサポート(応急処置、評価、スポーツ復帰のリハビリなど)をアスレティックトレーナーから受ける事が出来ますので、トレーニングの利用のみならず利用者講習会を受け活用して下さい。

ただ、皆さんが怪我をした直後に私達アスレティックトレーナーがいつも対応できるわけではありませんし、救急を要する怪我は別として比較的軽度な怪我ではアスレティックトレーナーや医療機関で診てもらうまでに怪我をしてから数時間~数日経過してからという事が多いと思います。今までに受傷時はたいした怪我でないと思っていたのに翌日になると思ったより腫れが出たり、痛みが強くなったりした経験がある方が多いのではないでしょうか。そこで今回は比較的に良く発生する打撲(大腿部)と捻挫(足関節)を例に挙げ、受傷後に自分で出来るRICE処置を紹介します。RICEというのは各処置の頭文字を取ったもので、これらの処置で打撲や捻挫などの受傷後の「痛み」、「腫れ」、「熱感」、「発赤」、「機能障害(関節が曲がらない、歩けない等)」といった症状を最小限に抑える事が出来ます。

①安静(Rest):受傷後は患部に負担をかけない。アスレティックトレーナーは時にテープを用いたりし患部を固定する事がありますが、自分で出来る応急処置では、患部をできるだけ動かさないようにします。

②冷却(Ice):氷で患部を15分程冷やします。冷やす事で痛みをコントロールし、細胞、組織のダメージを抑えます。怪我の程度によりますが、痛みなどが強ければ1〜2時間毎に15分程患部を冷すことを繰り返します。今回は氷のう(写真①)を使用していますが、家に氷のうがなければビニール袋に氷を入れて冷やして下さい。冷却の方法としては他にもバケツの中に水と氷を入れて患部を浸す方法もありますが、一般家庭では氷が少ししか準備出来ないでしょうから、その時は紙コップに水を入れ凍らせ、それを患部に直接当てて冷やす(アイスマッサージ)という冷却法もあります。蓄冷剤を用いて冷やす時は、直接肌に当てないようにし凍傷に十分気をつけて下さい。

☆ごく稀に冷やすことで発疹などアレルギー反応が出る人がいます。その場合いは冷やさずに他の処置をして下さい。

③圧迫(Compression):患部を直接圧迫する事で受傷後の腫れを最小限に抑えます。応急処置として先ず冷却と組み合わせ弾性包帯で患部を圧迫しますが、冷却が終わった後も弾性包帯などで患部の圧迫は続けましょう。(大腿部の打撲の場合は写真③のように冷却が終わっても膝をしっかり曲げた状態で安静、圧迫、挙上を続ける事で、受傷後に膝が曲がらなくなる事を防ぎます)。その時に血流を妨げない程度に患部を圧迫します

④挙上(Elevation):心臓より患部を高く挙げる事で患部への圧力を低くし腫れを抑えます。

氷のう(なければビニール袋に氷を入れ、氷が動かないように空気を抜く)

写真① 氷のう(空気を抜きます)

 

例1:左大腿前部の打撲時

打撲のRICE処置

写真② 打撲のRICE処置

冷却後の処置

冷却後の安静時

写真③ 冷却後の安静時

 

例2:左足関節を捻った時

RICE処置

足関節のRICE処置

写真④ 足関節のRICE処置

この①~④のRICE処置を受傷後、可能な限り速やかに行う事が大事です。これらの処置を行った上でアスレティックトレーナーや医療機関を受診するようにしましょう。

瀬田アスレティックトレーナー: 管

 

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