トレーニング室

正しくベンチプレスしてますか?

ベンチプレスは、上肢の代表的なエクササイズです。また上肢エクササイズの中では最も重い重量を扱える種目であるため、上肢の筋力評価にも用いられます。ベンチプレスは胸部のトレーニング種目として紹介されることが多いですが、胸部以外にも肩まわりや上腕部など上肢の多くの部位が動員されるため、種目数や時間などが制限されている場合は、上肢のトレーニングとして非常に効率の良い種目であるといえます。

またベンチプレスは、ウエイトトレーニングのエクササイズの中でも「非常に」人気のある種目のようです。ウエイトトレーニングというとベンチプレスを想像される方が多いのではないでしょうか?トレーニング室でも多くの学生が実施しているのを見かけます。
動作的にも、ベンチに横になってバーベルを単純に胸の上で上下させているだけのように見え、スクワットやデッドリフトよりは気軽にできそう…?と思えるかもしれない反面、補助者がいない状態で挙上できなくなったり、何らかの事故でバーベルを落下させてしまったりしたときには、逃げ場がなくなるため非常に危険な状態に陥り、場合によっては命に関わる、ウエイトトレーニングのエクササイズの中でも最も危険性の高い種目であるということを認識してください!
そのため、ベンチプレスは必ず一人以上の補助者がいる状態で実施してください!!もちろん補助者はエクササイズ中に実施者から目を離さず、すぐに補助できる体勢でいる必要があります。
さらにパワーラックを使用し、セーフティバーを適切な高さにセットすれば、より安全に実施出来るでしょう。

ベンチプレスは誤ったテクニックで行うと肩関節周囲の傷害を引き起こしやすい種目です。一見単純な動作に見えますが、日常生活ではほぼ無い動きと力の発揮の仕方であり、適切なエクササイズテクニックを習得する必要があります。事故を防止し傷害を予防するために、適切なエクササイズテクニックを身につけるまでは、興味半分やいたずら半分で自分の限界重量に挑戦してはいけません!!
初めてベンチプレスを行うのに、いきなり限界にチャレンジしようとするのは、スノーボードやスキーを初めて経験するのに、いきなり急斜面やコブ斜面を滑ろうとするようなものです。

【開始前のチェック】
1. 補助者はいるか?パワーラックを利用する場合、セーフティバーの位置は適当か?
2. ラックの高さは適当か?
3. バーベルはベンチのラック上に左右均等に置かれているか?
4. プレートは左右両側に同じ重量が取り付けられているか?カラーでプレートが固定されているか?

【ベンチプレスのセットアップ】
1. ベンチの(バーベル側ではない)端に座り、続いてベンチ上に仰向けになります。バーベルの位置が自分の目の真上にくるように自身の位置を調整します。
2. 胸を張り、肩甲骨を内側かつ腰側に寄せ(内転と下制)、しっかりと固定します。頭を浮かせてしまうと、この姿勢が保持できません。
3. バーベルを順手(プロネイテッドグリップ)で握ります。両手の握り幅の基本は、腕を左右に広げた状態での左右の肘の位置です。また、バーは手の指の付け根ではなく手掌側に乗せ、手首が反らないようにします。親指は必ずバーを巻くようにしてください(サムアラウンドグリップ)。

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手首

 

4. 両足は肩幅程度の足幅で床につけておき、膝の下に足が位置するようにします。両足で身体が左右にぶれなようにしっかりと支持します。特別な理由がない限り足をベンチ上に乗せたりしてはいけません。
5. 姿勢を保持したまま腕を伸ばしラック上でバーを持ち上げ、そのまま肩の真上で安定するまでバーベルを移動させます(アンラック)。アンラックの局面は肩を痛めやすいため、補助者に手伝ってもらうことをお勧めします。

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【バーベルの下降と挙上】
1. バーベルを肩の真上の位置から、胸の一番高い位置あたり(およそ乳頭線上)に下ろしていきます。肘を横に張りすぎて、バーベルを鎖骨や首の近くに下ろしてはいけません。
2. バーベルはコントロールされたスピードで下ろします。勢いよく胸に当てバウンドさせるように落としてはいけません(理由は後述します)。また、常に肘の真上にバーベルが位置するようにしてください。
3. バーベルを支える力を保持したまま、胸にバーベルが触れるまで下ろします。

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4. バーベルが胸に触れたら、力は抜かず挙上の動作に移ります。ここでも、常に肘の真上にバーベルが位置するようにしてください。
5. 挙上の際、頭を上げたり、左右どちらかのみを見たり、身体を捻ったり、足を上げたりしてはいけません。セットアップ時の姿勢が崩れ、バランスを崩し事故の原因になります。
6. バーを肩の真上まで挙上します。胸の上に下ろし、肩の上に上げるという動作から、バーの動きの軌跡は地面と垂直にはなりません。
7. バランスを崩さないよう、バーをラックに戻します。この局面も補助者に手伝ってもらうことをお勧めします。

【避けるべき動作】
1. バーベルを胸の上でバウンドさせる。この動作では、バーベルが勢いよく胸に落とされることになるため、肋骨および胸骨を損傷する可能性があります。また、バウンドの勢いでバーが挙上している間は、筋による動作のコントロールが失われるため、挙上できなくなったときに非常に危険な状態に陥ることがあります。
2. 腰部を過度に反らし臀部を浮かせる(ブリッジ)。この動作では脊柱の下部に著しい負担がかかり、障害の原因となります。
3. バーベルを胸まで落とさずに挙上する(ハーフレップ)。可動域全体でエクササイズを行いましょう。胸まで下ろせないのであれば、エクササイズテクニックに誤りがあるか負荷が重すぎます。途中までしかバーベルを下ろせない重量で反復することは、もしそれ以下にバーベルが下降してしまった場合、コントロールを失う危険性があります。特別な理由で可動域が制限されているのであればベンチプレス以外の代替種目を検討すべきでしょう。

ベンチプレス中に実施者にこれらの動作が見られた場合は、すぐにエクササイズを中止させフォームの修正を行う必要があります。

ベンチプレスのテクニックで重要な点の1つは、バーベルの下降から挙上まで全ての局面において、常にバーベルをコントロールできる状態におく、ということです。

安全に正しく、ベンチプレスを楽しみましょう。

(瀬田S&C 菊地)

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