トレーニング室

競技スポーツとストレングス&コンディショニング

瀬田トレーニング室ストレングス&コンディショニングコーチの菊地です。

新年度となり、新入生は新たなステージでの勉学やその他の活動に、様々な期待を膨らませていることと思われます。また体育会のサークルの中には、すでに新入生が合流し活動を開始している部もあるでしょう。

スポーツ種目や年齢、競技レベルなどで違いはありますが、スポーツ競技の技術、戦術を含めた総合的なトレーニングプランの中に、何らかの形でウエイトトレーニングなど体力の向上を目的とした、いわゆる「ストレングス&コンディショニング」のプログラムを組み込むことは、私が高校〜大学で競技を行っていた時代(約30年前)に比べれば、内容や程度の差こそはあれ、かなり一般的になってきました。

ここで改めて、なぜ競技スポーツに「ストレングス&コンディショニング」を取り入れるのか、を考えてみたいと思います。

  • ストレングス&コンディショニングの定義

「ストレングス(Strength)とは、筋力、パワー、筋持久力のみならずスピード、バランス、コーディネーション等の筋機能が関わるすべての体力要素に不可欠な能力です。単に力発揮の大きさを表すだけでなく、状況に応じて適切に筋活動をコントロールするための「神経-筋系全体の能力」と定義されます。コンディショニング(Conditioning)とは、スポーツパフォーマンスを最大限に高めるために、筋力やパワーを向上させつつ、柔軟性、全身持久力など競技パフォーマンスに関連するすべての要素をトレーニングし、身体的な準備を整えることです。また、一般の人々にとっては、快適な日常生活を送るために、筋力や柔軟性、全身持久力をはじめとする種々の体力要素を総合的に調整することです」(特定非営利活動法人NSCAジャパンのウェブサイトhttp://www.nsca-japan.or.jp/11_quali/sandc.htmlから引用)。

  • 競技スポーツのストレングス&コンディショニングとは?

まず、当たり前のこととして、そのスポーツ自体の練習をしなければ、そのスポーツの個人やチームのパフォーマンスを高めることは不可能です。そのスポーツ自体の戦術や技術の練習をどれだけ効果的に、十分に行っていくか、が最も重要なのはいうまでもありません。

一方、競技スポーツも身体活動の一つであり、多くの場合、日常にはないレベルの非常に激しい活動が含まれています。そのため、まずはその活動に耐えうるだけの十分な体力が備わっていることが、ケガをせずスポーツに参加するためには必要であるといえます。もちろん、その競技スポーツ自体を継続して行っているだけでも、試合や練習で行う活動レベルや内容に応じて、身体はそれに適応してくるでしょう。すなわち(選手がもともともっている体力レベルに依存しますが)スポーツの練習だけでも、あるレベルまでは体力が向上してくることが考えられます。しかし、スポーツの練習は(種目によって様々なエクササイズがあると思われますが)多くの場合、競技技術や戦術を向上させることを目的としており、ある単一の基礎的な体力を「最大限に」効果的に高めることを目的としたものでは無いはずです。

基礎的な体力として柔軟性や、筋力、スピード、パワー、持久力をあげることができますが、それぞれをより短期間で最大限に向上させるためには、目的とする体力要素に絞った、そしてその能力を安全に最大限まで発揮でき、発揮した能力のレベルを数値で把握できるエクササイズでトレーニングする方が効果的です。それを考えると、そのエクササイズは必ずしも競技活動や技術に類似したものにはならないことが理解していただけると思います。そこで、それらの体力要素を限られた期間により効果的に高めるために、スポーツの技術練習とは別に、選手の状態および目的に応じてそれらのエクササイズを計画的にプログラムし実施していく活動が「ストレングス&コンディショニング」です。

(適切な例ではないかも知れませんが)料理をスポーツパフォーマンスだと仮定すると、手元にある食材(穀物や野菜など)を使って、料理をできるだけ美味しく作り上げようすることがスポーツの技術練習であり、できるだけ良い食材を作ろうとするのがストレングス&コンディショニング…といったところでしょうか。良い食材を適切に使えば、料理をより美味しく仕上げることができます。食材(自分の身体)をよりレベルの高いものに変えていくためには、スポーツの技術練習が有効な体力向上の手段とはならないとすれば、選手の年齢や状態に応じた計画的なストレングス&コンディショニングを継続して実施していくことは必須のものであるといえます。

  • 「今」何を行うべきなのか?を考えること

しかし、競技スポーツにおいては、主要な試合までの期間や、大学生であれば4年間(競技できる期間は3年と少し)という期間の中で競技の練習を行う時間を最優先に確保しなければならないことを考慮すると、トレーニングできる回数(期間)というものはかなり限定されます。さらに1回のトレーニングセッションの時間も、一般的には1~2時間程度と限られています。したがってプログラムの中に、必要なすべての体力の要素や動作の要素についてのエクササイズを盛り込むことは不可能です。そのため何を優先して実施していくべきなのかを考えなければなりません。

まずはシーズンの最終的な目標を設定し、それに向けて中・長期的なトレーニング計画を立てる必要があります。計画の方法としては、筋肥大や筋持久力の向上させる時期、筋力を向上させる時期、さらにパワーやスピードを向上させる時期、という具合に、時期により系統的にトレーニング内容を発展させ、最終的に目的とする体力要素を最大限に高めていこうとするピリオダイゼーション(Periodization: 期分け)と呼ばれるやり方が効果的であるとされています。

また、スポーツパフォーマンスには数多くの要因が影響してくるために、選手個々にパフォーマンス向上のアプローチは異なってきます。私たちトレーニングセンターのスタッフは、トレーニングを行なっている選手達を日々観察し、効果を評価し、そして選手達と話し合いながら、「傷害予防とパフォーマンス向上」のための、より安全かつ効果的なサポートを追求しています。

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