端艇部

【端艇部】全日本選手権①

【努力は報われるのか】
2017年10月27日正午。多くの人にとって、それは晩秋週末の昼下がりに過ぎないが、埼玉県戸田ボートコースでは3人の選手が全日本選手権大会の決勝進出をかけたレースに臨んでいた。

 

どれだけの人が、自分にとって「はじめて」の色を覚えているだろうか。曖昧模糊になっていることが、生きていくほど増えていく。ボート競技を始めて6年以上経った晩秋週末の昼下がり、岩男ははじめて全国大会決勝進出を決めた。

 

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Crew(同じ艇に乗るメンバー)の島田と鎌田は、岩男と同期4回生である。高校時代にさほど目立った結果を残していなかったが、大学進学後、確かな力をつけていく。その土台となったのは、今村監督から提案される膨大な練習量であった。順風満帆ではなかったが、学年が上がるにつれ心身の成長は練習量に比例していった。

 

今大会がともに大学最後のレースであったが、島田、鎌田は卒業後もボート競技を続ける進路を選択している。彼らはこれからも日本一を決めるこの舞台で、幾度となく躍動するだろう。そしてときには、栄光を掴むことも…。

 

岩男は無性に、勝ちたいと思った。

 

全日本級レースは主に戸田ボートコースで実施される。このコースでは決勝・順位決定は各組4艇でレースをする。その決勝レース、龍谷大学は4位だった。

 

彼らの努力は「日本一、メダル、表彰式」という形としての実を結ぶことはなかった。

 

「はじめて」の色あれば「おわり」の色あり。彼らにはどのように映っただろうか。一つのことに打ち込んだのだから美しかったのだろうというのは、周囲の勝手な希望に過ぎない。かける言葉を選ぶ中、人生最後のボート競技を終えた、岩男の声が聞こえてきた。

 

「島田、鎌ちゃん。君たちのボート人生は、はじまったばかりだ!」

 

晩秋の戸田ボートコースに、さわやかな風が吹いた。

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左から岩男、島田、鎌田

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